護身術のイメージ
護身術と言えば
- 相手が殴ってきたらこうする
- 蹴ってきたらこうする
- ナイフで襲ってきたらこうする
- 身近なものや護身具を使って身を守る
このようなことをまず思い浮かべる人が多いことでしょう。
しかし、
これらの技術は習得にある程度時間がかかる。
相手が複数、武器所有、急所攻撃ありということまで想定すると、とんでもないことになる。
しかも、どれだけやっても完璧に相手の攻撃を防御できる保証はない。
故にこれらを学べばもう安心と考えるのは危険である。
法的問題も
また、仮に暴漢、不審者を撃退できたとしても
- 暴漢の人数、武装の有無
- その時の周囲の状況
- 相手のけがの程度
などによっては過剰防衛として扱われる可能性がある。
過剰なケガをさせずに相手を制圧するのはぶん殴ってやっつけることの何倍も難しい。
特に武道や格闘技の専門家の体は武器として認識されるので注意が必要である。
護身術を広義にとらえ、状況を作る~戦略的護身術
護身術はもっと広義にとらえるべきだろう。たとえば、
- 危険な場所に近づかない(不審者情報など情報を集める)
- 人通りの多い安全な道を通勤通学に選ぶ
- 危険な時間帯に出歩かない
- 一人での行動は可能なら避ける
- 通勤通学路上の逃げ込める場所を確認しておく
- 緊急時に助けに来れる人を確認しておく
- 緊急通報先を調べておく(警察、交番など)
これらを行うことで暴漢や不審者に遭遇する確率はかなり減り、
遭遇時の対応も楽になるだろう。これも立派な護身術である。
その上で
- 基本的な護身術を身に付ける
- 持ち物、身に着けているもので身を守る方法を知る
- 通勤通学路上にあるもので護身につかえそうなものを確認しておく
傘、ペン、バッグ、コートや上着、高齢者の場合は杖、子供の場合はリコーダーやものさし、
店頭ののぼり棒や木切れ、石ころ、砂などいろいろありそうだ。
危険に遭う確率を減らし、助けを呼べる状況を作っている。
つまり戦う必要を減らしている。
戦いを省略する状況を作るための護身、つまり
戦略的護身術
が大切だと私は考えている。
一方、相手が攻撃してきた時に行うのは、戦う術としての護身=
戦術的護身術
こちらも戦略的護身術で作った状況を利用することによりさらに効果が上がると考えている。
戦術的護身術~状況を利用する
いくら安全に気を付けていても、危険に100%遭わない保証はない。
そんな時はどうしても身を守るための行動を起こす必要がある。
「戦う」ではない。「行動を起こす」である。
できることは何でも行おう。
自分ができることは何か?
まずは相手と戦うしかないという固定観念を捨て、自分ができることを考え、それを増やしていこう。
刺激しない~相手を怒らせない、全力を出させない
何をやるにしても大前提だ。
逃げるにしても、助けを求めるにしても、制圧するにしても
相手が全力を出す前に何とかしたい。
時間を稼ぐ~必ずだれか通る
最初から逃げられるのなら(逃げ込める場所が近いなど)それでいいが、
相手の足の速さなどが分からない以上、間合いを取った上で下手に出て言葉で相手をなだめた方がいい。
時間が稼げれば誰か人が通るだろう。戦略的護身術で人通りの多い道を通る様にしていたら誰か来るのも早いだろう。その人に助けを求めてもよい。
金銭が目的なら渡しておいて、後から賠償金と一緒に返してもらえばいい。
(小額のお金と使えないカードなどを入れたダミーの財布を持っておく手もある)
相手との問答やダミーの財布の使い方などイメージトレーニングしておくといい。
逃げる
勝ったり相手を倒したりする必要はない。逃げればよい。
勝ったとしてもケガでもさせれば、最悪、警察のお世話になる。
逃げることも相手を刺激し、怒らせることもあるので、
確実に逃げられる場面を待つ
戦略的護身で逃げ込める場所を確認していれば、
そこまで逃げることを考えればいいので気持ちはかなり楽になる。
相手の心理を考える
不審者、変質者と言っても、相手をいきなり殴ろう、殺そうとか言う者は滅多にいない。
金銭目的か示威行為、どこかに連れ込もうとすることがが殆どなので、攻撃も脅すための大振りなものとか、手をつかんで連れ去ろうとするなどパターンが限定されやすい。
その手の攻撃は少しの練習ですぐにかわせるようになる。
そもそも相手に攻撃を当てるには、
- 射程距離に相手を入れる
- 攻撃する(殴る、蹴る、捕まえる等)
という2段階が必要。特に相手が逃げ回る場合は攻撃側としてはやりにくい。
故に、まず逃げる、よける技術を高めると良い
それで時間が稼げる。
選択肢を増やす
相手に立ち向かうしかできない状態を打開し、自分ができることを事前に増やしておく。
これが戦略的護身の目的である。
- 相手をなだめる
- 身を守りやすい場所に隠れる
- 助けを待つ、求める
それでもダメな場合は戦術的護身術が必要となる
- 護身術を使う
- 身近な道具を武器として使う
その場合でも、逃げる、助けを求めるという選択肢を排除せず、柔軟に対応する。
つまり選択肢を減らさない。
通学、通勤路の状況と自分の体力、能力、持ち物などから自分にできることを把握しておく。
そこから自分が取れる選択肢を考える。
護身術などを習って能力を高めれば選択肢はさらに増える。
護身術は選択肢
そう言ってもそう間違いではないだろう。
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